代表の佐野です。今回は3DCADでモデリングした切削加工部品のデータから必要な部品の寸法の作り方についてお話しします。
切削による加工品を作る際に、部材がどの程度必要になるかを把握するために、部品の寸法を測定して記録する必要があります。
元になる部材がありそこから部品の大きさを作る場合はすでに部材のサイズは分かったものになります。逆に部品の大きさは決まっているのでその部品の大きさから元の部材の大きさを求めることがあります。
今回は後者の「部品のサイズから元の部材の大きさを求める」方法について考えます。
バウンディングボックスを使い3Dオブジェクトから寸法を取り出す
モデリングした後から寸法を付けての測定はオススメできません。たとえばこういう形で寸法を出してみます。
この方法でも必要な情報が取得できれば問題ないのですが、寸法の基準となる点やエッジ(ライン)を取り違えると正確な寸法値が出てきません。また外周が単純ですが複雑な場合は寸法測定が困難な場合もあります。
(こういった面取りがされた場所から寸法基準を取るのはちょっと怖い)
オススメはバウンディングボックスを使った方法です。バウンディングボックス(Bounding Box)はたとえば物体に対して外周を作る機能です。最小の外周を取ることができるので、切削前の部材の大きさを正確に取得できます。
(AIや画像認識の界隈だと、物体を検知したエリア/領域をバウンディングボックスといいます。意味合いは同じですね)
この後は寸法コマンドを使い測定した寸法値を元に部品情報を作り部品表などに記入する作業を行います。
加工代を考慮した寸法値は計算による自動化をしよう
樹脂や鋼材を加工する際、部材のサイズは加工後の鋼材部品の外周寸法だけでは足りず寸法の桁調整や加工代の数値もプラスする必要があります。ここを手作業で行うと手間がかかってしまいます。
こういった課題に対して、弊社では3DCADのマクロ機能を使って加工代を考慮した寸法値を載せられるようなコマンドを制作して利用しています。
オリジナルのコマンドで、部品のオブジェクトからバウンディングボックスを生成し、ボックスの外周から寸法値を測定後に、加工代や桁調整を行い寸法情報を記入する作業を効率化しています。
地味な写真ですが、バウンディングボックスの情報を元に小数点を考慮したり、加工代を追加記入をして数字をプレビューして確認しています。
このように手作業で計算せずに作成したのちに寸法情報を3Dデータの付加情報として保存し、そこから部品表を作成することで間違えや入力漏れを減らすことができます。
まとめ
今回は切削部品の寸法を測定して記録する方法についてお話ししました。部品の寸法を測定する際には、バウンディングボックスを使って外周のモデルを用意し、寸法を取り出す方法がオススメです。
また、CADのマクロ機能などで拡張をすることで、加工代を考慮した寸法値を計算による自動化を行うことで、寸法情報の記入作業を効率化することも可能でしょう。
次回は、ホース配管やコード配線の部品の場合についてお話しします。
弊社では、3Dデータから寸法情報や付加情報の生成を行うような取り組みの支援も可能です。ご興味のある方はぜひお問い合わせください。